2012年1月 7日 (土)

12月雑感:「幻巌堂AWARD‘2011・それでも映画は続いてゆく」

Manifestoと書いて嘘八百と読む~そう教えてくれたのは他でもない政権与党の民主党。鳩山の沖縄基地問題、菅の霞ヶ関改革、そして仕上げは野田の八ッ場ダム建設の再開と消費税増税。彼らには本当に、税金を貪り続ける官僚が跋扈する霞ヶ関を変えるという確かな志と強い意志があったのだろうか。いったい彼らはどこを向いて政治を動かしているのか。

福島原発事故に関しても東電と経産省・文科省の軍門に下り続ける民主党。お為ごかしの第1原発冷温停止第1ステップの達成を拙速に発表し、菅の唯一の置き土産であるはずの「再生エネルギー買取法案」さえ反故にしようとする野田政権。国民の信頼をことごとく裏切り続ける無責任極まりない彼らにはもはや言葉もない。何度も言うが、最終処分方法さえ決まっていない使用済み核燃料を生み出し続ける原発をなおも推進しようとする彼ら(政治家・役人・電力会社幹部・財界人・大マスコミ)の犯罪は、まさにA級戦犯に等しい。中でも平気で原発再稼動が暮らしや経済を守るという詭弁を平気で展開し、果ては原発輸出の再開まで奨励してしまうY新聞の社説にはあいた口がふさがらない。国民の暮らしを省みる理念を忘れてしまったマスメディアはすでにいつか来た道を歩き出している。

さて私の2011年。ほの暗い世相の中にあって、心を和ませてくれたもの、感動を覚えたもの、笑顔をくれたもの、ワクワクさせてくれたもの、納得させてくれたもの、涙を流してしまったものなどなど、印象に残る数々を記しておきたい。

まずは映画ベスト5。洋画は「ソーシャルネットワーク」「トゥルーグリット」「ブラックスワン」「ツリー・オブ・ライフ」「ゴーストライター」。邦画は「八日目の蝉」「奇跡」「軽蔑」「死にゆく妻との旅路」「モテキ」。特にコーエンブラザーズの見事な本と演出、衰えを知らぬロマン・ポランスキーの緻密かつ巧みな演出には唸らされた。また、鈴希杏ちゃんの情熱を叩きつけるような演技、三浦友和の見事な役作りも心に残る。このほかにも「127時間」「ラビットボール」「探偵はバーにいる」「大鹿村騒動記」「太平洋の奇跡」「星守る犬」が印象に残る。そしてもう1本、前年公開作品ながら韓国映画の「ハーモニー心をつなぐ歌」には大いに涙を誘われた。

次は音楽。CDベスト3は「Ry Cooder / Pull up some dust and sit down」「Joss Stone / Lp1」「Candi Staton / Evidence the complete Fame records masters」。音楽家として人間としてその真摯な姿勢はいささかも揺るがないライ。ブッシュ政権の新自由主義経済で急激に格差の広がった社会への警鐘、そしてリーマンショックで庶民を置いて逃げ出した金融屋への痛烈な皮肉、地に足をつけた彼の音楽はより強くより深く心に語りかけてくる。久しぶりのジョスの新作はデイヴ・ステュワートのポップセンスと上手く絡み合って実に心地良い。ヴォーカルのソウルセンスもより磨かれ確実にパワーアップしている。今も現役ゴスペルシンガーとして頑張るキャンディ・ステイトン。彼女のソウルシンガーとしての黄金期、フェイムレコード時代のコンプリート作品集がついに登場した。文句なしのマストアイテムだ。

この1曲といえばRobbie Robertsonの「When the night was young」。過分にペシミスティックな気もするが、ちょうど私のあの頃とシンクロする歌詞がなんとも切ない。やはりこの人はディランであり、ザ・バンドはこの人だったのだと納得する。Lucinda Williamsの「Blessed」も捨てがたい。こちらはRyにも通じるアメリカの良心というべきミュージシャン。RobbieやRyの歌をさらに深く鋭く突き詰めた感もある。アメリカ社会は取り返しのつかないところまで病んでしまったのか。

ついでにK-POPガールグループのパフォーマンス&ソングのベスト5も。「T-ARA/Roly poly」「少女時代/The boys」「2NE1/I am the best」「Sistar/So cool」「Wonder girls/Be my baby」。日本発売盤では断然「2NE1/Don't go away」。

アートは、「森山大道写真展On the road」と「ワシントン美術館アートギャラリー展」(詳細は9月雑感参照)。

コラムは、月刊「ちくま」連載の佐野真一「テレビ幻魔館」。無駄な言葉を削ぎ落とし僅かなスペースで問題の本質を書き尽くす佐野氏の筆力と慧眼には毎回目から鱗が落ちる。

サラブレッドは、オルフェーブル、ブエナビスタ、スマートファルコン、トランセンド、アーネストリー。オルフェに続く期待の星は、牡馬ディーププリランテ、牝馬ジョワドヴィーヴル。

最後のオマケは2011年に見た韓流ドラマベスト5。「製パン王キム・タック」「レディプレジデント」「明日に向ってハイキック」「八月に降る雪」「トンイ」。

今年もいい映画・素敵な音楽に出会えますように。ではまた来月。

2011年12月25日 (日)

厳しい流れの先行策がアーネストリーの活路を拓く。「第56回有馬記念」

期待の2騎トリップ、グランテッツァがあっさり敗れたラジオNIKKEI杯。勝ったアダムスピークとゴール前鋭く伸びた2着のゴールドシップが、替わってディーププリランテとともに2012年クラシックの主役に躍り出た。トリップ、グランの巻き返しに新星ワールドエースが加わって、ようやく牡馬クラシック戦線も顔ぶれが揃ってきた。

早いもので今年ももはや有馬記念を残すのみとなった。ダークシャドウの戦線離脱、直前に左前脚を痛めたペルーサの取消はあったものの、文句のないメンバーが揃った今年の有馬記念。やはり主役は3冠馬となったオルフェーブルだろう。4角先頭で圧勝劇を演じた菊花賞のパフォーマンスは充分に凄みを感じさせるものだった。これまで3冠馬となったその年に有馬記念に出走したのはシンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクトの3頭。2頭が勝ち、ディープは僅差の2着と、実績はほぼ100%といっていいほど。問題は今年の3歳馬のレベルをどう見るかにかかっている。そして、ダービー、菊花賞と2着を続けたウインバリアシオンのJC5着から寸法を測れば、ブエナビスタ、トーセンジョーダンらと勝ち負けのできる位置にいることは間違いない。出遅れなどアクシデントのない限り、きっとゴール前の争いに加わってくることだろう。今年もブルードメアサイアーとしてゴールドシップを送り出したメジロマックイーンの血恐るべしだ。

とはいえ有馬記念こそは自分の夢を大好きな馬に託すレース。そして今年の私の夢はもちろんアーネストリーだ。天皇賞の惨敗は外枠と出遅れと、理由がはっきりしているだけに、ここはもう一度の期待がかかる。彼特有の厳しい流れの先行策でレースの主導権を握れば、4角で勝利が見えてくると確信している。少し時計のかかる冬枯れの良馬場という条件もきっと彼に味方することだろう。佐藤の哲ちゃんも2度も同じ轍を踏むことはないはずだ。息の合ったコンビで世界への扉をこじ開けてもらいたい。

トーセンジョーダンはこの秋ようやく本格化して超一流の競走馬に進化した。札幌記念、天皇賞ともにスタートからゴールまで実に安定したレースぶりで、、負けないキレと渋とさを確実に身につけた。不利な位置からゴール前できわどい勝負に持ち込んだJCを見れば、その力量は本物と断言できる。今回は得意な右回り、おまけに先行タイプの彼にとってはお誂え向きの短い直線。勝利の最も近くにいるのは彼なのかもしれない。

この1戦がラストランとなるブエナビスタ。一部の酷評を見事に跳ね返したJCの勝利は彼女の競争歴の集大成といっていいだろう。そしてとうとう最後の晴れ舞台。ゴールまで前の馬を追い詰める彼女の並外れた根性と強い心肺能力は、ここでもきっと大きな見せ場を作るに違いないと信じる。それでも相手は強力な牡馬ばかり。これまでにもまして彼女にとっては厳しい戦いになりそうだ。まずは無事完走を祈っている。

私が優勝圏内にあげるのは以上4頭だが、そのほかで気になるのはヒルノダムールとレッドデイヴィス。特に後者レッドは、鞍上武豊がきっと20年前のオグリキャップをほうふつさせるようなレースをするのではないか。変身後のオルフェーブルに唯一土をつけた不運の実力馬レッドが、運に見放されつつある武豊に20年ぶりの奇跡をプレゼントするかもしれない。

【第56回有馬記念】

◎アーネストリー

○トーセンジョーダン

▲オルフェーブル

△ブエナビスタ

2011年12月18日 (日)

雪の名子役が雪の帝王に進化する。「第63回朝日杯フューチュリティ・ステークス」

ジュヴナイルフィリーズはジョワドヴィーヴルが直線で大きく弾け予想以上といえる圧勝劇を演じた。新馬戦1勝だけで参戦したGⅠレースでのこの一方的な勝利を見ていて感じたのは、この馬は姉ブエナビスタという母系よりも父ディープインパクトの血を濃く宿しているのではないかということ。出走メンバーのレベルが低かったのかもしれないが、ゴール前も追い続けていればもっと時計が詰まったことを考えると、やはり怪物出現と言っていいだろう。無事に冬を乗り越え春を迎えられるよう祈っている。松田博資厩舎だけにレーヴディソールの二の舞だけは勘弁してほしい。

さて今日は2歳牡馬の朝日杯。ディーププリランテが年明けの共同杯出走を決め、トリップは来週のラジオNIKKEI、グランデッツァはどうも故障発生らしいと、今年も有力メンバーの顔が見えない朝日杯。そんな中大物の風格を持つのはスノードンではないか。前走の萩ステークスは現場で見ることができたが、直線での破壊力は桁違いといっていいもの。もたもたしていた夏場の2走が嘘のような10月復帰からの2連勝。本物だと信じて本命に指名する。初年度から3頭出しと好調な種牡馬アドマイヤムーン。いずれも脈のある馬ばかりであなどれない。

ローレルブレットの父は、エアグルーヴの仔で5戦3勝、脚部不安のために引退したサムライハート。良い肌馬が集まらないにもかかわらず初年度からGⅠ参戦馬を出した。早熟でマイルが最適の堅実馬という印象が強いことを考えると、ここが最大の目標という気がする。好枠順に恵まれ大きな仕事をやってのけるかもしれない。

11分の2という狭き門の抽選を突破したショウナンラムジ。祖母はフォーカルポイントやビエンナーレを出したフォーカルプレーン。前走は中途半端なレースとなったが、直線で突き抜ける力は充分あると見たい。雄大な馬体は文句ないし、追い切りも水準以上。抽選を突破した強運だけでなく、力で勝利をもぎ取ってほしい。

ダローネガは大外枠が致命的だ。スタートしてすぐ2コーナーのカーブがある中山のマイルは、どうしても振り回される形になるからだ。京都の内回りコースとともに、ここもやはりGⅠレースにはふさわしくないと断言しておく。このJRAの大きな課題が来年も克服されないままなのは実に嘆かわしい。京王杯勝ちのレオアクティブも同様だ。

替わって注目したいのがしぶとく追込むサドンストームと未知の魅力のアルフレード。特に前半長スローだったとはいえ、上がり3F32秒5の脚を使ったアルフレードのレース振りはしっくりと見ておきたい。

人気のクラレントだが、兄リディルと比べるといかにも線が細い。前走の大敗は道悪のせいだというが終いの切れない追い切りを見ると大きな期待はできないとみた。

昨日の新馬戦での1着降着で横山典弘が騎乗停止になり、有馬記念でのペルーサの鞍乗が空いたが、レッドデイヴィス騎乗予定の安藤勝巳が横滑りして一件落着となった。実に不思議なことだが、ペルーサの馬主がレッドデイヴィスのオーナークラブ代表の夫だったというのが真相。レースの公正という面から見れば、なんとも疑惑に満ちた腑に落ちない決着とは言えないか。

【第63回朝日杯フューチュリティ・ステークス】

◎スノードン

○ローレルブレット

▲ショウナンラムジ

△サドンストーム

△ダローネガ

△アルフレード

2011年12月11日 (日)

暮れの阪神に季節外れの桜の蕾が開く。「第63回阪神ジュブナイル・フィリーズ」

 先週のJCダート。守りに入る立場ではなかったはずのエスポワールシチーと佐藤哲三が躊躇した阪神ダートの1コーナー手前。ここで先頭に立ったトランセンドとの勝負はついていた。トランが番手勝負で負かせる相手ではないことを知っていたはずなのに、哲ちゃんの判断は残念ながら間違っていたとしか言いようがない。結果、2着も守れず無残な敗戦。エスポファンとしては実に残念この上ないレースとなった。暮れの東京大賞典に出てくるようなら、スマートファルコンの鼻を叩くような積極性を見せてほしい。

 巷間噂がかまびすしい武豊と社台グループの確執。スポーツ紙や競馬雑誌が沈黙を続ける中、11月末に出た月刊誌「競馬最強の法則」に記事が掲載された。それによると、最大の原因は天皇賞春でローズキングダムに騎乗した武豊が社台Gが出した先行の位置取り指示を守らずに大敗したことにあるという。落馬負傷以降、武豊の騎乗内容の評価を下げていた社台Gが、これを機に各厩舎にクラブの馬から武騎乗を外せとの通達を出したらしい。なんとも穏かではない状況だ。仮にこれが事実だとすれば社台Gも実に大人気ない話だ。まるで力と金にまかせた恐怖政治ではないか。現在武豊が社台Gのクラブ所有の馬に全く乗っていないわけではない。しかし、乗っているのは勝負にならないと分かる馬が大半だ。これは武豊にとって屈辱以外のなにものでもない。これって何処ぞのプロ野球チームのオーナーのやることと似てはいないか。金を使って有力選手を掻き集め、内部の反乱には子飼いのOB解説者や記者さらには風見鶏役員まで使って嘘を正当化するやり方。また、チーム買収による新オーナー誕生にも影で動き、子飼いのOBをGMと監督に据えることまでやる始末。どうやら、プロ野球の人気凋落の原因が自分の行動にあることを自覚できないらしい。JRAにとってこれは決して対岸の火事ではない。このまま武イジメが続くようなら、いずれはJRAの土台が揺らぎ人気の凋落に歯止めが効かなくなってしまうことにならないとも限らない。自転車振興会と松本整の対立から競輪人気が凋落したように。

 さて、阪神のコースが改修されて直線が長くゴール前に坂ができてから、勝ち馬が桜花賞・オークスに直結するようになった阪神JF。今年はいまだに頭抜けた馬が見当たらず、混戦必至のフルゲートとなった。そんな中で私がピックアップしたのは、ファインチョイス、トーセンベニザクラ、サウンドオブハートの3頭。

タイキシャトルの肌にアドマイヤムーンという配合のファインチョイス。マイルの距離は少し心配だが、休養明けの前走も出遅れがなければ3連勝あったかもと思わせる内容だったし、2・3番手で折り合える器用さがあるのも頼もしく3着は外さない気がする。ウッドコースでの追い切りも上々で信頼してみたい。

ここがすでに7戦目となるトーセンベニザクラ。母系には大逃げのシルポートがいるが、この馬は先行抜け出しも追込みもOKの器用さを持っている。母系にダンシングブレーブやリアルシャダイなどの重厚な血を配して、しっかりと踏ん張りが利くタイプに仕上がった。欲を言うなら後20キロくらい成長してほしいものだが、使い減りの不安もなく前走並みの追込みを決めれば女神が微笑むに違いない。

そして武豊騎乗のサウンドオブハート。松岡の骨折で廻ってきた絶好のGⅠ勝利のチャンス。まずは豊頑張れだ。カーリアンにタキオンの配合はオークスまで楽しめそうだが、切れ味が身上のレース振りだけに脚元が気になる。無事完走すれば結果はついてきそうだが、大外からゆったりと好位に運んで直線勝負に持ち込めればきわどい勝負になることだろう。

後は、抽選で滑り込んだ強運のジョワドヴィーヴル。ブエナビスタの妹としては線の細さが気になるものの、姉譲りの根性に期待したい。そしてもう1頭、デビュー2連勝の芦毛馬イチオクノホシ。昨年のレーヴディソールには遠く及ばないが、後方からの強烈な末脚はここでも大いに魅力を感じる。

予想紙で印が並ぶアナスタシアブルーとアイムユアーズは、ここ一番の大レースに弱いファルブラヴの血がどうにも引っかかる。

【第63回阪神ジュブナイル・フィリーズ】

◎トーセンベニザクラ

○ファインチョイス

▲サウンドオブハート

△ジョワドヴィーヴル

△イチオクノホシ

2011年12月 5日 (月)

11月雑感:「フィクサー気取りのタレントが旗を振る大阪に未来はあるのか」

179573_m1  11月30日になって東電が福島第1原発1号機の全燃料が溶融して圧力容器の底を突き破り格納容器内に落下したことを認める発表を行った。さまざまなデータから炉心の状況を解析した結果だというものの、発表には落下した恐れがあるなどと、末尾に恐れがあるという不透明な言葉をつけて、この期に及んでもまだおためごかしを繰り返している。溶融した核燃料が落ちても、格納容器の底には常に深さ40センチほどの冷却水が溜まっていて注水も続いているので心配はないという。一向に改まる気配のない危機管理の驚くべき低さにはもはや言葉がない。そうした状況にもかかわらず、政府は12月16日に工程をほぼ1ヶ月前倒しして福島第1原発の冷温停止の達成を発表するという。いったい彼らはどこを向いて政治を行っているのか。これから何10年かかるのかさえわからない廃炉への長い道のりをなめているとしか思えない。仮りに格納容器への注水が何時間か滞るような状況が起こった時、東電は事実を隠すだろうけれど、政府や行政機関は国民に何と申し開きをするつもりなのか。細野原発相の軽薄な会見を見るたびに不安は限りなく増大する。

 カタログハウス発行の「通販生活」が秋冬号の巻頭で原発国民投票を特集している。原発の廃止・存続の判断は、電力会社や政府・行政が決定するものではなく国民が決めるものだという、至極まっとうな問題定義だといえる。ところが、この雑誌のCMを毎回放映しているテレビ朝日は、今回のCMの放送を拒否したという。テレビ朝日早河社長はこれに関して放送倫理規定を持ち出し、一方向的な意見の広告は放送にふさわしくないと説明した。はたしてこのCMが一方向的な意見なのだろうか。You tube「通販生活」で検索すればすぐにこのCMは見られるはず。ぜひ確かめてみてほしい。百歩譲って一方向的な意見などと言うのなら、東電や各電力会社が流す原発はクリーンエネルギーというCMこそ倫理規定に触れるのではないだろうか。テレビメディアはここまで堕ちてしまったのか。

 大阪では11月最終週の日曜日に市長・知事のダブル選挙が行われた。タレント弁護士から大阪府知事に転身して以来、数々の改革と粛清、そしてメディアを巧みに利用した発言で今や時代の寵児となった橋下徹。市民の関心が高かったのかどうか市長選の投票率は前回の倍増、知事選ともに橋下率いる維新の会が圧勝した。メディアの軽さ・怖さを思い知らされた今回の選挙結果だが、案の定というべきか民放テレビでは投票締切りの数分前に当確の速報スーパーを出すという失態をみせた。カリスマもどきに一気に揺れ動く国民性は80年前から少しも変わっていなかったということなのか。経済と教育(学力)の数字優先で、都市文化・庶民文化の創造・育成はもとより、ムダのひと言で切り捨てていく橋本に、少なくとも私は大阪の明日を託すことはできない。彼のぶち上げた大阪都構想についてもあまりに疑問が多すぎるのだが、それは次の機会に語ることにしたい。そして、直球で核心を突いたかに見せかける乱暴な物言いで大阪のおばちゃんを翻弄するやしきたかじんというタレント。彼は選挙後橋下が負けていたら大阪市民を辞めていたと言い放った。要するに自分の番組で橋下を応援していたことを正直に告白したわけだ。そんな彼が今も数多くのメインのテレビ番組を持つという矛盾。前項の放送倫理規定などあってないものの如くに。選挙前には対立候補だった前市長平松と前知事橋下との公開討論を企画し物議をかもしたのも彼だ。なにやらフィクサー気取りで上からの物言いを繰り返す彼を見ていると、怒りを通り越して哀しくさえある。テレビメディアは地に落ちてしまったようだ。

今月はまたKガールポップスがヘヴィローテイションとなった。1年半ぶり(アルバムとしては実に4年ぶり)にワンダーガールズが本国でリリースしたセカンドアルバム「ワンダー・ワールド」。目玉となった1曲「ビー・マイ・ベイビー」は、あのフィル・スペクター=ロネッツの名曲と同名異曲だが、パク・ジニョンによるキャッチーなメロディラインは、なかなか飽きさせないし耳に残る。ただ、薄っぺらいシンセのオケと間の抜けた打ち込みはいかんともしがたく、フィルの名曲には遠く及ばないものの、ヴァネッサ・パラディスのレベルにはじゅうぶん達している。今回のアルバムでは確実に成長したソヒーのヴォーカルに驚かされる。ソネとイェウンの強力なヴォーカル隊がこれでさらに厚味を増した。ただ、新加入から1年半のへリムがまだまだ弱い。「ノーバディ」でアメリカ進出に失敗し、ソヒーと人気を分け合っていたイ・ソンミを失いながらも日本へと進路を変えることもなく、細々とアメリカでのドサ廻り的活動も続ける彼女たちだが、その一方中国、ヴェトナム、タイ、マレーシアなどでは絶大な人気を獲得している。「ガールズ・ガールズ」「ニューシューズ」といったライヴで聴いてみたくなる曲もあるこのニューアルバム、まだしばらくは私の部屋でも回り続けそうだ。少女時代の「ボーイズ」も悪くはないが、やはり王道ポップスはこちらだろう。というところで、ではまた来月。

2011年12月 4日 (日)

2度目の黄金期へ向かうエスポ君と哲ちゃんを信じる。「第12回JAPAN CUP DIRT」

JCターフのブエナビスタは感動的なまでの勝負強さを存分に見せつけてくれた。もう彼女は繁殖期の体になったなどという雑音を、強烈な差し脚で切って捨てたこの牝馬の衰えを知らぬ強い闘争心には正直頭が下がる思いだ。荒れた芝の直線ながら内が伸びる馬場状態を掴み切った岩田康成の好騎乗も見逃せない。最内をついて4着まで押し上げた武豊ともども、さすがと思える好判断だった。果敢に先行したトーセンジョーダンの2着も、天皇賞制覇がフロックでなかったことを確実に証明した。社台ダイナースクラブの規定(牝馬は5歳いっぱいで引退し売り値の1割でクラブが買い戻して繁殖にあげる)のため、ブエナは次走の有馬記念が引退戦となる。直線の短い中山は追込み脚質の彼女には明らかに不利だが、ぜひもう一度超ド級の勝負根性と豪脚を見せてほしい。正月京都での引退式には必ず足を運ぶつもりだ。

いよいよ師走。暮れの阪神開幕週はJCダート。大井でトランセンドに影を踏ませなかったスマートファルコンの回避は実に残念だ。ドバイを目指すと言いながら中央の舞台をなぜか嫌うのはオーナーなのかトレーナーなのか。大詰めの大井でJCD勝ち馬との決着戦をとの考えかもしれないが、直線に坂のあるコースで逃げ切りを見せてほしいものだ。来年のフェブラリーSにはぜひ雄姿を拝ませてもらいたい。

外国馬の参戦がない今年のJCD、主役は前走こそSファルコンの強烈な逃げに屈したものの、昨年のこのレースの勝利から1年ダート王の名の通りの戦績を残すトランセンド。ドバイ遠征帰国後3走目となるここは、体調万全と見ていいはず。彼の王道は昨年のこのレースから始まったこともあり、ディフェンディングチャンプとしても負けられない一戦だろう。直線で馬体を併せ叩き合いに持ち込めば持ち前の無類の勝負根性がいきるに違いない。彼が負ける展開として唯一考えられるのは、前走でSファルコンが見せたような前半から緩みのないペースの逃げを追いかける展開になった時だろう。エスポワールシチーとのマッチレースの前評判が高い今回、エスポ君が勝つとすればレコードタイムの決着になることは必至と断言しておこう。

そのエスポ君だが、ようやく長いトンネルを抜け出したかに見える前走。はたして対戦メンバーが弱かったのかどうか。時計的には水準以上の走りだったが、彼が本来の力を取り戻したのかどうかは、やはりこのレースの結果が答えになるのだろう。土曜未明から豪雨との予報にもかかわらず驟雨程度に終わった阪神ダートは良馬場間違いなし。その良でレコードを出してこそのエスポ君。気の合った哲ちゃんとのコンビで、競りかけてくる馬を切り捨てていくような、彼ならではの強靭な先行力を見せつけてほしい。心配なのは水曜の坂路追い切りで途中よれてしまったこと。かつてのエスポ君には見られなかったことだけに、少し気がかりだ。

メンバー中にはこの2頭のレースに割って入るような馬は正直見当たらない。それでもまだ微かに底を見せていないトウショウフリークの未知の成長力にわずかな期待と敬意を表し3番手として副穴候補にあげておく。

余談だが昨日の鳴尾記念は半年振りに骨折から復帰したレッドデイヴィスが格の違いを見せつけるかのような強い勝ちっぷりを見せた。テン乗りとなったミルコもロスのない騎乗で、まだまだ勢いだけといった感じの浜中とはひと味もふた味も違う手綱捌き。オルフェーブルの相手はやはりこの馬しかいない。この後、誰のお手馬となるのか気にかかるところだ。菊花賞では良いところのなかったショウナンマイティだが、直線の長い阪神外回りで見事に末脚がいきた首差の2着。現在の武豊にとっては貴重な戦力だけに、来春に向けていいレースとなった。

【第12回JAPAN CUP DIRT】

◎エスポワールシチー

○トランセンド

△トウショウフリーク

2011年11月27日 (日)

欧州経済危機を支えるドイツからの若き女傑が見せる上質の夢。「第31回JAPAN CUP TURF」

勝ったエイシンアポロンの強さだけが印象に残るマイルチャンピオンシップ。レースを台無しにしたシルポートの中途半端な逃げもいただけないが、そのペースに簡単に巻き込まれたようなリアルインパクトの解せない位置取りには大いに疑問を感じてしまった。大外一気を通用しなくしてしまった前日の雨を恨んでも仕様がないのだが、今回に限っては実に恨めしい限りだ。今日京阪杯を楽勝したロードカナロアが来年はスプリンター&マイラーの王道を往くことだろう。マイルまでなら充分に対応できるに違いない。

京都2歳Sでは快勝したトリップが他馬に格の違いを見せつけるようなセンスの良い差し脚を繰り出した。馬群を割って出る根性も一級品。久々に芦毛の大物が現れたようだ。年末になるのか来年になるのか、ディーププリランテとの対決が楽しみになった。今日JC前のベゴニア賞に必勝を期して登場するショウナンラムジには、ぜひとも取りこぼしのないことを祈りたい。

さてジャパンカップターフ。メアジードーツ、フロストキング、ザベリワンの米加勢がホウヨウボーイ以下の日本馬を圧倒し1~3着を占めた第1回から数えて31回。その間着実に成長した日本生産馬は、今では凱旋門賞やドバイワールドカップでも欧米の強豪馬と肩を並べる評価を得るほどになった。

今年の外国馬の目玉はなんと言っても凱旋門賞を5馬身差で圧勝したデインドリームだろう。これまでその年の凱旋門賞馬の参戦は5度あったがいずれも結果が出ていない。しかし今年の凱旋門賞馬デインドリームは弱冠3歳のドイツ乙女なのだ。しかも2分24秒4というスピード決着。今回は凱旋門賞から1.5キロ少ない53キロという軽い斤量も魅力だし、凱旋門賞を含め現在GⅠ3連勝中というのも心強い。来日後もびしびし調教時計を出しているとなれば、もはや逆らう手はない。名前の通り上質の夢をかなえてみせることだろう。

相手には超ハイペースの天皇賞で内から怒涛の寄り身を見せたブエナビスタ。彼女の競争への集中力そして気力は、いささかも衰えはないと信じる。昨年直線半ばで内によれインターフェアをとられた屈辱を晴らしてほしいものだ。

もう1頭エイシンフラッシュも、シルポートの超ハイペースに巻き込まれながらかろうじて6着に踏ん張った。今週も追い切りでは文句なしの切れ味。強いダービー馬の底力をぜひとも見せつけてもらいたい。

以下は、天皇賞馬トーセンジョーダン、休養明け2走目で体調万全のトゥザグロリー、凱旋門賞2着のシャレータまで。ジョーダンは天皇賞の直線で見せた長く使えるいい脚が魅力。グローリーは見せ場たっぷりの前走も魅力だが、ジョーダンを寄せ付けなかった今週の追い切りが圧巻。そしてシャレータはしぶとく2着に踏ん張った凱旋門賞が忘れられない。

渡仏までしながらも脚部不安に悩まされ結局レースは8ヶ月ぶりとなるヴィクトワールピサだが、その実力は認めてもJCの勝負はそんなに簡単なものではないはずだ。

【第31回JAPAN CUP TURF】

◎デインドリーム

○ブエナビスタ

▲エイシンフラッシュ

△トーセンジョーダン

△トゥザグローリー

△シャレータ

2011年11月20日 (日)

雨ですっかり緩んだ馬場がどの馬に味方するのか。「第28回マイルチャンピオンシップ」

エリザベス女王杯のスノーフェアリーは完全に格の違いを見せつけた連覇だった。直線内から一気に突き抜けた強烈な差し脚はまさにジャックナイフのような切れ味。その鋭利な瞬発力は見ていて声もでないほど。驚愕というほかない。

昨日の東京スポーツ杯2歳Sは雨中の決戦となったが、勝ったディープブリランテはただ1頭直線ムチなしで駆け抜けた。いまだ決定打のない2歳牡馬では頭ひとつ大きく抜け出した感がある。晴雨兼用というのも頼もしい。次走は朝日杯かラジオNIKKEIか。いずれにしろそこでも間違いなく1番人気だろう。勝てば来年の主役決定だ。後は先週の新馬戦を快勝したヒストリカルの2戦目に注目したい。

さてマイルチャンピオンシップ。土曜の雨は想像以上の量となり、淀の馬場をあっという間に不良に変えた。マイルの新馬戦の勝ち時計が1分40秒をこえ、良からはほぼ4秒落ちの馬場。これから回復するとしても1分36秒台の決着になるのはほぼ間違いない。しかも昨日からはボコボコの内馬場に柵を置くCコースを使用。内埒沿い数頭分の優位は動かしがたい。

外枠を引いたリディルには試練の1戦に違いない。しかも昨日の東スポ杯で2番人気と期待された半弟クラレントが道中ノメリっぱなしの大惨敗。骨折治療でボルトの入った脚に力のいる馬場が負担になるのでは…など不安材料が少なくない。それでも私はあえて本命に指名する。能力最右翼と信じるからだ。ベテラン小牧騎手には好位づけに拘らず馬の力を信じてじっくり末脚勝負に賭けてもらいたい。

ジャック・ル・マロワ賞を勝ってボーナス目当てに本気で勝ちに来たイモータルヴァースは、小柄ながら鋭い切れ味勝負のフランス馬。直前の雨で力のいる馬場となったのは、この馬にとって幸運なのかもしれない。マロワ賞直後に軽い脚部不安が出たというが、来日後の調教を見る限りそんなそぶりは感じられない。まともなら格的にも3年連続参戦のサブレザよりこの馬だろう。

天皇賞で期待したミッキードリームは、シルポートの暴走に翻弄され直線ではいつもの末脚を繰り出す余裕が残っていなかった。ここもシルポートのハイペース必死だが、マイルの距離ならミッキーも持ちこたえることだろう。しぶとくゴール前の先頭争いに加わってくることを信じている。

脚部不安で長期休養の続いたエイシンアポロンはこの秋見事に復活の走りを見せている。力のいる重馬場には正直脚元が心配だが、力通り走れば最低でも掲示板には載ってくるはずだ。

天皇賞のシルポートは明らかな暴走だが、誰もが走れるペースでなかったことも明白。そんな非凡なスピードは一方で彼のポテンシャルの高さを確実に証明している。重馬場を前提に前半4Fを46秒で入ったとしても坂下で息が入るようなら、4角でもうひと伸びふた伸びしてギリギリ粘り込むという展開があってもなんら不思議はない。

リアルインパクトの実力は素直に認めるがなぜ岩田ではなく福永なのか。この馬にテン乗りの福永祐一は大きなギャンブルではないか。私にはどうも彼が合っている気がしないのだが。マイルの実績馬ダノンヨーヨー、グランプリボスは両馬ともにがっかりさせるような追い切り。本調子にはまだまだという感じだ。このあたりならやはり執念の来日参戦といえそうなサブレザに食指が動く。

【第28回 マイルチャンピオンシップ】

◎リディル

○イモータルヴァース

▲ミッキードリーム

△エイシンアポロン

△シルポート

2011年11月13日 (日)

真っ赤な夕陽に燃え上がるトマト。「第36回 エリザベス女王杯」

11月3日のJBC3重賞(大井競馬場)はそれぞれに見ごたえのある好レースだった。レディスクラシックは予想通り直線ではミラクルレジェンドとラヴェリータの叩き合いとなり、今回もMレジェンドが勝ってこの2頭の戦いにほぼ決着がついた。スプリントは出負けしながらも果敢に先頭を奪った笠松のラブミーチャンがゴール直前まで大健闘の4着。勝ったスーニはようやく本物の強さを見せはじめた。そしてクラシック。スタートからゴールまで、逃げるスマートファルコンと追うトランセンドの完全なマッチレースとなった。前半1000mが60秒7でお終い3Fが37秒3では他馬のつけ入るスキなど全くなし。4着以下は最初から大差のついたまま。暮れのJCDではこの2頭に日曜日の勝利で復活ののろしを上げたエスポワールシチーが加わる。そこでもSファルコンが逃げ切るようだと彼は怪物というしかないが、3強対決がどんな決着を見せるのか、大きく楽しみが広がった。

さてエリザベス女王杯。今年の見どころは、3歳アヴェンチュラ、5歳イタリアンレッドの3連勝組が真の力量を証明するのか、またアパパネ、レーヴディソールが復活の証明を見せるのかといったところか。はたしてどの馬が自らの希望を力で実現してくれるのだろうか。

イタリアンレッドはハンデキャップホースと見られたのか、重賞を勝っても勝っても評価も人気ももうひとつ上がらない。それでも直線が短かろうと長かろうと、右回りでも左回りでも確実に差し切ってみせた重賞3連勝はダテではないはず。ともかく確実に力をつけているのは間違いない。今回願わくばデムーロが鞍上にいてほしかった気がするが、淀の夕陽に真っ赤なイタリアントマトが完熟期の美味しい勝利を燃え上がらせてくれそうだ。

アパパネは前回の惨敗で、夏場の休養をはさんで馬体が変わりすでに競走馬として闘争心を失っているとの評価がある。はたしてそうなのだろうか。今回の栗東での最終追い切りを見る限りは、私の目には復活準備OKと映った。昨年目を覆うような低迷を続けたフィギュアの浅田真央が昨夜のNHK杯で流麗な復活の舞いを見せた。今日アパパネが彼女に続いてもなんら不思議はない。

レーヴディソールは桜花賞直前の骨折から8ヶ月の休養明け。能力の高さは桁違いだが、いかにもフルゲート・GⅠ戦での復帰は試練が大きすぎる。それでもできることなら直線の大外からの豪脚復活を見たい。彼女の潜在能力からすれば、不可能な夢ではないはず。とはいえ、まずは故障再発生のない完走を祈りたい。

ディフェンディングチャンプ・スノーフェアリーの実力は先の凱旋門賞3着でも証明されている。ただ、今回1ヶ月でフランス~英国~日本という強行日程はかなり気がかりだ。今日のパドックで彼女の元気な姿を見れば、そんな不安もすぐに払拭されるのだろうが…。

アヴェンチュラの秋華賞はしぶとく強い印象。距離の伸びるここはさらに条件が揃ったといえる。気がかりは、スローな流れになり4角ヨーイドンとなった時の切れ味。まさに今日が試金石の一戦だろう。

フミノマージンは今日も出遅れは確実。さて18頭が捌き切れるのかどうか。彼女も距離延長は歓迎だろう。特に今年は安定したレースが続いており、直線の切れ味勝負になればレーヴとこの馬が抜け出すという場面が見られるかもしれない。

昨日まで△評価していたダンシングレインはやはり熱を持った前脚が気がかり。この馬も故障のない完走を祈りたい。

【第36回 エリザベス女王杯】

◎イタリアンレッド

○アパパネ

▲レーヴディソール

△スノーフェアリー

△アヴェンチュラ

△フミノマージン

2011年11月 3日 (木)

10月雑感:「嘘で塗り固めた情報の後に来るもの」

東京世田谷で起こった実に不可解な放射能ラディウム騒動は置いておくとして、内閣府原発委は各原発の防災地域を30km圏内に拡大することを決めた。対策費(とは名ばかりのばら撒き金)は倍増するという。原発からの撤退などありえないとでも言うように。増える一方の使用済み燃料の最終処分方法・処分地の問題をひた隠し、それらの計り知れないリスクを将来のツケとするやり方。金を生む利権のためにそこまでやるのかという思い、実にやりきれない。まるで、サラ金で借金を繰り返し家族を犠牲にしてギャンブルにのめり込む極道親父とそっくりではないか。六ヶ所村の使用済み燃料中間処理施設の貯蔵プールも現在約95%を使い果たしているという。各原発の原子炉建屋上部に設置された危険極まりない使用済み燃料プールもじきにパンクすることだろう。

いまだ放射能を撒き散らし続けている福島原発では、2号機建屋内からキセノンが検知された。予想通り東電の発表は嘘だらけだったということだ。発表されている冷温停止による沈静化などいくばくも進んでおらず、溶融して原子炉下部に落ちたウラン燃料が再臨界を起こしていることは間違いない。窒素ガスの投入はやはり緊急事態であり、御用学者や御用記者の言うように、安心できる状況などでないことは明白だ。しかもこの情報さえ、東電と保安院で隠蔽を図り経産省大臣へは数時間伝えられなかったという。彼らの体質と構造はいまだに何も変わっていないということがはっきりした。玄海原発の再稼動でも、でたらめなストレス検査の結果が漏れ出している。これらの真実を誠実に読者である国民に伝えようとしない大新聞。もうこの国には、ジャーナリズムは存在し得ないのか。

大読売の社説は、関西電力が発表した年末の節電協力への御用記事と化している。この期に及んで火力発電の環境リスクや燃料のコスト高を問題にして原発を再稼動させねばならないと謳う。読売は原発事故や使用済み燃料最終処理のリスクをなぜ隠すのか。原発の実際のコストをどうとらえているのか。国民の命の重みをほんとうに考えているのか。嘘で塗り固めた詭弁の数々を堂々と書き記す裏に何が存在するのか。なぜ、わかりきった電力不足に対して火力発電所の再開や増設などの対策をとってこなかったかという、当たり前の批判は紙面のどこにも見ることが出来ない。そうした批判は自らに降りかかってくるからなのか。ああ、国民を裏切り続ける野田政権。ああ、自省精神を失いいつか来た道を歩き始めた大マスコミ。私たちは、いったいどこへ向かわされているのか。

明日への光が見えなくなりつつある世情を映し出すかのように、猟奇的な殺人事件が毎日のように新聞の社会面を賑わせ、自殺者は増加の一途を辿っている。日々荒んでゆくこの社会の中で、僅かに心を和ませてくれたのが史上7頭目の三冠馬オルフェーブルだった。菊花賞のパドックでは小柄ながらもどっしりと馬体に幅が出て風格さえ漂っていた。そして、力の違いを見せつけた圧勝劇の三冠達成。間違いなく海外へ出て行くであろう来年の活躍が今から楽しみだ。

10月に見た映画では、ロマン・ポランスキー監督の「ゴーストライター」が出色だった。巻頭、曇天小雨の埠頭に到着するフェリーに1台取り残される車、そして海岸に打ち上げられる死体。ヒッチコックを思わせる鋭いプロローグが、見ているこちらの心を鷲掴みにする。話が進むにつれて、しだいに大いなる脅威の中に巻き込まれたことを知る主人公。効果的に表現される不意の恐怖と数々の小道具。そして、正義と絶望が表裏一体として描かれるラスト。絶望的漂白とでも言うべきラストは、ポランスキーの長編デビュー作「水の中のナイフ」を思い起こさせる。ぜひとも見てほしい1本だ。ではまた来月。

2011年11月 2日 (水)

事実上のマッチレースは長い直線がカギを握るのか。「第11回JBCクラシック」

シルポートの大逃げで厳しい流れとなった天皇賞。大外のアーネストリーは好位につけたものの、前半1000mが56秒5という超ハイペースでは直線向いて前へ出る余地などあるはずもない。同様に先行集団にいた人気馬ブエナビスタ、エイシンフラッシュ、ローズキングダムなども、直線半ばで伸びが止まった。それでも4着・6着に粘ったBビスタ・Eフラッシュには確かな地力を感ぜずにはおれない。一部ではピークを過ぎたと言われるBビスタだが、ジャパンカップでは最も頼れる日本馬となるだろう。同様にEフラッシュの巻き返しも確信できる。

さて明日は大井での大一番JBCクラシック。JRAダート3強の一角エスポワールシチーがJCD前の対決を見送ったことで、レースはスマートファルコンとトランセンドのマッチレースの様相を呈することとなった。枠順もトラン9番・スマート10番と隣り合わせ。スマートが逃げてトランが2番手というレースになるのだろう。ここでレースのカギを握ると思われるのは、比較的長い389mの直線。当然、前走南部杯でダノンカモンをゴール前で差し返したトランセンドに有利と映る。しかもエスポワールシチーの作った前半3F34秒3のハイペースの中で2番手を進みながらの勝利だけに、その地力は確かのものに違いない。

対するスマートファルコンの魅力は絶対的なスピード。連勝中のすべてのレースが前半から猛烈なペースで行って後続の末脚を断ち切るという圧勝劇ばかり。大井のコースも問題にしていないし、はたして前半3F35秒を切るようなペースで行って、トランが4コーナーでスマートに並べるのかどうか。私は並べると見る。前半3F34秒台で行ってもラスト3F37秒を切る脚が使えるのがトランの強み。そして前走で見せつけた並外れた根性。世界の超一流との修羅場をも潜り抜けてきたトランセンド有利の見方は揺るがない。とにかくJCDにもつながる一戦だけに目が離せない。

JBCスプリントの見どころは、笠松のラブミーチャンがJRA勢にどこまで迫れるか。頑張れラブミーチャン。JBCレディスクラシックはこちらもミラクルレジェンドとラヴェリータのマッチレースになりそうだが、ラヴェリータが前走の雪辱を果たしそうだ。

【第11回JBCクラシック】

◎トランセンド

○スマートファルコン

2011年10月30日 (日)

大外枠の非情な足枷ハンディをどう乗り越えてくれるのか。「第144回天皇賞」

オルフェーブルのワンマンショーで幕を閉じた菊花賞。全く非の打ちどころのない完璧なレース運びと凄みさえ感じさせる差し脚。偉大なる3冠馬の誕生だ。願わくば、年々レース意義自体が希薄になる菊花賞より、凱旋門賞へ向かってほしかった。今年のような時計勝負のレースなら彼にも勝機が充分にあったのではないだろうか。いよいよJRAももう待ったなしで3冠レース体系を考える時期に来ているようだ。アメリカ方式に倣い、皐月賞・マイルカップ・ダービーの3冠への移行が妥当だろう。中3週が必要とするなら、マイルカップを桜花賞前に持ってきてもいいのではないか。

昨日のスワンS、お目当ては久しぶりにパドックで見るジョーカプチーノ。入れ込みはさほどではないものの厩務員を頼っての周回は、外外を回り厩務員をぐんぐん引っ張っていた今年正月の出来にはまだまだ遠く及ばない様子。ところがスムーズなスタートで先頭に立つと、1000mまでにファロン10秒台のラップを3度も刻むという超ハイペースをつくり、直線を向くと後続を3馬身も突き放すという驚異的なパワーを見せた。ゴール前でリディルの寄り身に屈したものの、1キロの斤量差を考えれば、完全復調に限りなく近づいているといっていいだろう。次走マイルCSへの期待が確実に高まる快走だった。また、9レース萩Sに登場したショウナンラムジ。個人的に深い因縁のある母系だけに、前走のレコードタイム快勝にとうとう大物出現かと期待を持っての観戦だった。結果、2着惜敗も走破タイムは10レースの準オープン戦を軽く超えていて、こちらも期待は確実に上昇。この後は条件特別で確実に賞金を上積みするのか、ラジオNIKKEI賞にぶつけるのか。いずれにしろ無事成長を祈りたい。最低人気で勝ち切ったスノードンともども、必ずクラシック路線に乗る馬だとあえて断言しておく。

さて天皇賞。実に厄介なことになった。私のイチオシ佐々木晶三=佐藤哲三=アーネストリーの強力トリオが府中2000m大外枠という致命的ともいえる不利を強いられてしまったからだ。府中の2000mといえば、スタートしてすぐのカーブで全馬が内枠に寄ってしまうため危ない接触事故が過去に何度も繰り返されている。にもかかわらずJRAはいまだ何の対応策も講じてはいない。距離を1ファロン短縮するか延伸する、出走頭数を減らすなど、いくらでも策があるというのにだ。そして今回真ん中より内なら◎がズラリと並んでもおかしくないアーネストリーが最外枠となった。内枠の馬とは時計ひとつのハンディと佐々木師が言うように戦う前からこれは明らかにアンフェアなレースだ。さて、哲ちゃんとアーネストリーはこの大きな不利をどのように跳ね返すのか。劣勢を承知で私は◎を打ちたい。過去に差すレースも経験しているアーネストリーだが、行ってナンボ、マクッてナンボの彼だけに、この大外枠は痛いし残念至極の想いだ。今週の坂路追い切りも圧巻。公平にヨーイドンをすれば、現時点ではこの馬が力最上位だと、私は確信している。

対抗にはエイシンフラッシュ。今回の実質的な本命馬だ。春の天皇賞も宝塚記念も負けはしたものの、実に安定した力通りの差し脚を見せてくれた。ここでも間違いなく勝ち負けに加わってくることだろう。今週もWコースで見事な終いの切れを見せており、状態は間違いなく仕上がっている。

勝ち負けに加わる3番手はやはりブエナビスタ。問題は5歳の秋を迎えて彼女がなおも勝負への執念の気力を持続しえているのかどうかにかかっている。気力さえあれば、彼女はどんな位置にいようともゴール前では必ず先頭争いに加わってくるに違いない。気になる材料は、ヴィクトリアマイルの2着だろう。

毎日王冠1・2着のダークシャドウとミッキードリームは今年春からの急成長馬として注目しておきたい。このメンバーに入ってどうかの懸念はあるものの、確実に上昇カーブを描いている勢いは、ここを突き抜ける可能性を充分に秘めている。そしてもう1頭、昨年暮れの有馬記念5着と札幌記念の強さが忘れられないトーセンジョーダンも加えておきたい。

それにしても獲得賞金順とはいえ、ブエナの宿敵レッドディザイアが18頭から弾かれてしまったのは実に残念だし納得もできない。明らかに参加するだけという出走馬がいるからだ。ともあれ、今回の天皇賞がJRAへの数多くの重要な課題を顕在化し突きつけるレースとなることを切に祈っている。

【第144回天皇賞】

◎アーネストリー

○エイシンフラッシュ

▲ブエナビスタ

△ダークシャドウ

△ミッキードリーム

△トーセンジョーダン

2011年10月22日 (土)

平成3頭目の3冠馬誕生は23年23日の3づくし。「第72回菊花賞」

予想通りつまらないレースになってしまった秋華賞。優勝したアヴェンチュラにケチをつけるわけではないが、1番枠と3番枠の有力馬が短い直線で抜け出してしまえば、外を回った馬たちはなすすべなしという味気ない内容。これがGⅠレースとは実に情けない。追い込んでは来たものの最後の1冠も逃してしまったホエールキャプチャが気の毒でならない。何度も言うが、原因が京都内回りコースにあるのは火を見るより明らかなのだ。来年以降も京都で秋華賞を続けるというのならば、距離を1800mに短縮して外回りでやるしかないだろう。

さて菊花賞。今年は6年ぶりに3冠馬が誕生しそうだ。オルフェーブル。先のトライアル神戸新聞杯を見る限りでは、他馬とは力2つくらい抜けた存在といっていいだろう。特にこの秋の末脚は、ダービーからさらに凄みを増している。この兄弟特有の小柄な体躯ながら、横幅が出てどっしりとしてきた。今週の追い切りも非の打ちどころがなく、正直なところ負ける要素が見当たらない。仮りに負ける展開があるとしたら、2週目の坂の下りから捲り切った馬が4角で4馬身以上引き離して弾けるといったケースしかあるまい。ただし今回のメンバーを何度も見返したがその候補馬は浮かんでこない。世界恐慌一歩手前の現在、金の価格が高騰している中で金細工師(オルフェーブル)が3冠という話は出来過ぎのようだが、どうやらほぼ間違いないだろう。

相手もウィンバリアシオンでしょうがないという気がする。安勝さんに乗り替わった青葉賞から明かに馬が変わった。切れるタイプではないものの、息の長い末脚で馬群を割って抜け出してくる安定感は抜群。大跳びながら、少し湿った馬場での力勝負といった消耗戦になれば、さらに台頭してきそうだ。

大外枠になってしまったショウナンマイティだが、神戸新聞杯のゴール直前に見せた差し脚は少しばかり印象に残った。もし3冠潰しのテレビ馬(サンビームかスーサングレートあたり)が無謀なハイペースを作るなんてことになれば、この馬の大外一気が見られるかもしれない。鞍乗の武豊もこの枠だけに腹を括って後方勝負に賭けるに違いない。

神戸新聞杯3着ながらまだ底の見えていないフレールジャック。この馬もショウナンと同様にハイペースに流れた時台頭する可能性が高い。とはいえ、現状では2着争いまでが精一杯か。8枠のもう1頭、条件2連勝で急上昇のダノンマックインも2着争いなら魅力たっぷりだ。不利を承知で8枠3頭に注目しておきたい。

【第72回菊花賞】

◎オルフェーブル

○ウインバリアシオン

▲ショウナンマイティ

△フレールジャック

△ダノンマックイン

2011年10月16日 (日)

クジラよりも大きな華を獲る世界平和の申し子。「第16回秋華賞」

南部杯でトランセンドがみせた、直線半ばからの無類の根性と鬼脚にはかなり驚いた。ドバイWCの2着を見せられても、正直ここまでの馬だとは思っていなかった。ほんとにトラン君ごめんなさいと言いたい。ゴール直前で内側からきっちり差し返してみせるところなど、トラン君自身がゴールの位置を知っているとしか思えないほど。ますますJBCクラシックでのスマートファルコンとの対戦が面白くなってきた。対してゴール前失速4着のエスポワールシチーは、まだまだ復調途上だと言っておきたい。ただ、この馬には欠かせない相棒佐藤哲三の骨折リタイアがいかにも痛かった。ピンチヒッター騎乗を務めた松岡正海だが、残念ながら彼はまだまだペースが読めないようで、スタートからの3ファロンはあきらかな暴走。ここでもう少し楽をさせておいてやれば、ゴール前はもう少しきわどいレースのなったに違いない。この後はJCダートとなるのだろうが、哲ちゃんとのコンビでダート王の復活をぜひともアピールしてもらいたい。

さて、秋華賞。今年も距離変更はなくまたまた淀の内回りコースが使われる。淀名物の3角の上り下りもほとんどなく、鋭角で内側が必ずゴチャつく4角、短い直線と、どれをとってもGⅠレースのコースとは思えない内回り。今年もまたくどいほどに言っておくが、こんな事故や不利の起こる確率の高いコースで決してGⅠレースを行ってはならないし、もう内回りコース自体の改善工事が行われてもいい頃だと。このままでは、何よりもレースの価値が上がらないし、見ていてもほんとにつまらないのだ。

桜花賞2着、オークス3着とスタートでの出遅れが響いて肝心のレースでの取りこぼしが目立った春のホエールキャプチャ。秋緒戦のローズSを見る限りでは出遅れはほぼ解消されたようだ。しかも勝ちっぷりが際立っていた。今週栗東坂路で叩き出した破格の追い切り時計を見ても、死角という死角が見当たらない。クジラ獲りと名づけられた彼女、今日はクジラよりさらに大きな華を獲ってしまいそうだ。クロフネ=サンデーという配合からも、距離の2000mは最適。世界平和という名の母へ、大きなプレゼントを届けてほしい。

相手は桜花賞馬マルセリーナ。この馬の秋からの突然の手替わりには驚いた。これも社台グループの意向なのだろうが、正直私にはその真意が理解できない。少なくともローズSの印象では祐一君が安勝さんよりこの馬に合っているとは思えない。ここで負けるようなら、次はルメールなんて考えているのかもね。マルセリーナの能力の高さはすでに桜花賞で実証されているし、ここでも能力だけなら最右翼の存在だろう。直線あっさりという場面があっても何の不思議もない。マルセリーナを突然下ろされた安勝さんはブエナビスタに続いてプライドをズタズタにされたにもかかわらず、社台グループのカルマートで参戦する。条件‐オープン特別を連勝中とはいえ、京都内回りで器用さに欠けるシンボリクリスエスの血が気になる。

3番手にはローズSのゴール前、外からの強襲が印象に残ったキョウワジャンヌ。最内枠がアダになるかもしれないが、飯田ジュニアが渾身の騎乗でロスなく上手く外へ持ち出せるようなら、ゴール前は今回も一気の寄り身を見せてくれることと信じている。

以下は、良血アヴェンチュラ、武豊の執念に期待のデルマドゥルガーまで。

【第16回秋華賞】

◎ホエールキャプチャ

○マルセリーナ

▲キョウワジャンヌ

△アヴェンチュラ

△デルマドゥルガー

2011年10月 9日 (日)

その名の通り古豪の底力と新勢力の台頭を凌ぎきれるか。「第24回マイルCS南部杯」

シンボリルドルフ、サッカーボーイと、今週は1980年代の中央競馬に大きな足跡を残した名馬の訃報が相次いだ。

シンザンをリアルタイムで知らなかった私にとって、ルドルフは初めて見る、負けることが考えられない馬だった。数少ない敗戦はカツラギエースにまんまと逃げ切られたJC、ギャロップダイナの鬼脚に屈した天皇賞、そしてレース前半で故障してしまった米国遠征緒戦のサンルイレイS。特にサンタアニタ競馬場での競争中止は、テレビ中継を見ていて残念でたまらなかったのを今もよく憶えている。種牡馬としてもトウカイテイオーというクラシック2冠馬を送り出し、確実な功績を残したといえよう。

サッカーボーイは2歳の朝日杯からマイルCSまで、勝つ時の強さは怪物といわれたようにケタ違いだった。特に1分57秒8という当時(1988年)では驚異的なタイムで圧勝した函館記念の激走には圧倒された。こちらも種牡馬として、ナリタトップロード、ティコティコタック、ヒシミラクルと3頭のGⅠ馬を出しており、その功績はいうまでもない。社台ファーム発展の表の大黒柱がノーザンテースト、サンディサイレンスなら、裏で屋台骨を支えたのが父ディクタスとこの馬だろう。ルドルフ、サッカーともにお疲れさま、安らかな永眠を心より祈りたい。

ルドルフの和田共弘、サッカーの吉田善哉。ともに故人だが、彼らは戦後の日本競馬の発展に大きな足跡を残した名オーナーブリーダーだ。その代表的な生産馬が相次いで倒れ、オーナーの元へと帰っていく。日本競馬のひとつの時代の終焉を見るこの1週間だった。合掌。

GⅠスプリンターズSでのロケットマンの敗戦。直線半ば過ぎまで安勝パドトロワ、福永エイシンヴァーゴウ、池添カレンチャンが完全な壁をつくってロケットマンの末脚を押さえ込んだ。最内でスペースをなくしたラッキーナインともども審議にはなったが、インターフェアとは程遠い内容。ロケットマン、ラッキーナインともども、陣営の中山の短い直線に対する戦略・戦術が甘かったのではないか。それにしてもカレンチャンの1走毎の地力強化は目を見張るものがある。切れ味、しぶとさともにもはや超1級品といっていいだろう。クロフネ~トニービンの配合から見て、多少の距離延長には充分対応できるはず。ぜひマイルCSへの挑戦でそのあたりを実証してもらいたい。

さて、東北大震災の影響で今年は東京競馬場で臨時開催される南部杯。JCダート、フェブラリーSを連勝しドバイWCでもあっといわせたトランセンド、そして昨年のBCクラシック挑戦までは無敵を誇ったエスポワールシチーの2頭が顔を合わせる。新旧ダート王の対決といっていいかもしれない。ただ、かたや上昇カーブに乗り続けるトランは半年の休養明け、対するエスポワールは休養明け3走を見る限り完全復調とは言えずピークが過ぎたとの見方がある。おまけに主戦の佐藤哲三が先週のスプリングSでスタート前に落馬し肋骨骨折のため騎乗できないというハンデまでついた。

スムーズなスタートならトランが先頭に立ちエスポワールが2番手につけるだろう。そうなればまさにマッチレース。ランフォルセ、ダノンカモンは3・4番手、ボレアス、バーディバーディ、シルクフォーチュン、ゴールドマインなどは中団から後方待機となりそうだ。トラン、エスポワールが牽制し合うスローペースの展開なら、たとえ府中の長い直線でも後続馬の出番はまずないはず。そうなればエスポワールがトランをとらえるのもかなり難しい気がする。絶好調時のエスポワールなら4角過ぎの坂上でトランをとらえて先頭に立つに違いない。

2頭以外でもしもがあるとすれば、ディープ産駒初のダート重賞勝ちを決めた3歳馬ボレアスの成長力に期待したい。ディープと同馬主、同騎手というめぐり合わせが奇跡のドラマを生むなんてことを考えるだけでも楽しい。はたして武豊の逆襲はあるのか。

本日の重賞、府中の毎日王冠は◎ナリタクリスタル、○ダークシャドウ、▲ミッキードリーム、淀の京都大賞典は◎オーケンブルースリ、○ローズキングダムに期待する。

【第24回マイルCS南部杯】

◎トランセンド

○エスポワールシチー

▲ボレアス

△ダノンカモン

△ランフォルセ