12月雑感:「幻巌堂AWARD‘2011・それでも映画は続いてゆく」
Manifestoと書いて嘘八百と読む~そう教えてくれたのは他でもない政権与党の民主党。鳩山の沖縄基地問題、菅の霞ヶ関改革、そして仕上げは野田の八ッ場ダム建設の再開と消費税増税。彼らには本当に、税金を貪り続ける官僚が跋扈する霞ヶ関を変えるという確かな志と強い意志があったのだろうか。いったい彼らはどこを向いて政治を動かしているのか。
福島原発事故に関しても東電と経産省・文科省の軍門に下り続ける民主党。お為ごかしの第1原発冷温停止第1ステップの達成を拙速に発表し、菅の唯一の置き土産であるはずの「再生エネルギー買取法案」さえ反故にしようとする野田政権。国民の信頼をことごとく裏切り続ける無責任極まりない彼らにはもはや言葉もない。何度も言うが、最終処分方法さえ決まっていない使用済み核燃料を生み出し続ける原発をなおも推進しようとする彼ら(政治家・役人・電力会社幹部・財界人・大マスコミ)の犯罪は、まさにA級戦犯に等しい。中でも平気で原発再稼動が暮らしや経済を守るという詭弁を平気で展開し、果ては原発輸出の再開まで奨励してしまうY新聞の社説にはあいた口がふさがらない。国民の暮らしを省みる理念を忘れてしまったマスメディアはすでにいつか来た道を歩き出している。
さて私の2011年。ほの暗い世相の中にあって、心を和ませてくれたもの、感動を覚えたもの、笑顔をくれたもの、ワクワクさせてくれたもの、納得させてくれたもの、涙を流してしまったものなどなど、印象に残る数々を記しておきたい。
まずは映画ベスト5。洋画は「ソーシャルネットワーク」「トゥルーグリット」「ブラックスワン」「ツリー・オブ・ライフ」「ゴーストライター」。邦画は「八日目の蝉」「奇跡」「軽蔑」「死にゆく妻との旅路」「モテキ」。特にコーエンブラザーズの見事な本と演出、衰えを知らぬロマン・ポランスキーの緻密かつ巧みな演出には唸らされた。また、鈴希杏ちゃんの情熱を叩きつけるような演技、三浦友和の見事な役作りも心に残る。このほかにも「127時間」「ラビットボール」「探偵はバーにいる」「大鹿村騒動記」「太平洋の奇跡」「星守る犬」が印象に残る。そしてもう1本、前年公開作品ながら韓国映画の「ハーモニー心をつなぐ歌」には大いに涙を誘われた。
次は音楽。CDベスト3は「Ry Cooder / Pull up some dust and sit down」「Joss Stone / Lp1」「Candi Staton / Evidence the complete Fame records masters」。音楽家として人間としてその真摯な姿勢はいささかも揺るがないライ。ブッシュ政権の新自由主義経済で急激に格差の広がった社会への警鐘、そしてリーマンショックで庶民を置いて逃げ出した金融屋への痛烈な皮肉、地に足をつけた彼の音楽はより強くより深く心に語りかけてくる。久しぶりのジョスの新作はデイヴ・ステュワートのポップセンスと上手く絡み合って実に心地良い。ヴォーカルのソウルセンスもより磨かれ確実にパワーアップしている。今も現役ゴスペルシンガーとして頑張るキャンディ・ステイトン。彼女のソウルシンガーとしての黄金期、フェイムレコード時代のコンプリート作品集がついに登場した。文句なしのマストアイテムだ。
この1曲といえばRobbie Robertsonの「When the night was young」。過分にペシミスティックな気もするが、ちょうど私のあの頃とシンクロする歌詞がなんとも切ない。やはりこの人はディランであり、ザ・バンドはこの人だったのだと納得する。Lucinda Williamsの「Blessed」も捨てがたい。こちらはRyにも通じるアメリカの良心というべきミュージシャン。RobbieやRyの歌をさらに深く鋭く突き詰めた感もある。アメリカ社会は取り返しのつかないところまで病んでしまったのか。
ついでにK-POPガールグループのパフォーマンス&ソングのベスト5も。「T-ARA/Roly poly」「少女時代/The boys」「2NE1/I am the best」「Sistar/So cool」「Wonder girls/Be my baby」。日本発売盤では断然「2NE1/Don't go away」。
アートは、「森山大道写真展On the road」と「ワシントン美術館アートギャラリー展」(詳細は9月雑感参照)。
コラムは、月刊「ちくま」連載の佐野真一「テレビ幻魔館」。無駄な言葉を削ぎ落とし僅かなスペースで問題の本質を書き尽くす佐野氏の筆力と慧眼には毎回目から鱗が落ちる。
サラブレッドは、オルフェーブル、ブエナビスタ、スマートファルコン、トランセンド、アーネストリー。オルフェに続く期待の星は、牡馬ディーププリランテ、牝馬ジョワドヴィーヴル。
最後のオマケは2011年に見た韓流ドラマベスト5。「製パン王キム・タック」「レディプレジデント」「明日に向ってハイキック」「八月に降る雪」「トンイ」。
今年もいい映画・素敵な音楽に出会えますように。ではまた来月。

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